自動車業界で流行の3気筒エンジン。なぜ4気筒をやめるのか。

2020年4月24日


近年、エンジンのダウンサイジングの流れと共に気筒数の減少の流れがきています。4気筒エンジンが主流だった排気量でも3気筒エンジンの採用が増えていいます。

日本車でこの流れの先駆けになったのは、K13型日産マーチが代表的だと思います。

日産マーチ K13型 1.2X Vセレクション(後期型) 日産プリンス店展示車 by DY5W-sport license: CC BY-SA 3.0

タイ生産となったK13型マーチの登場以前の日産の1.2Lエンジンは4気筒でした。それがこのマーチからHR12DE型3気筒エンジンに変更されました。同エンジンはノートやラティオなど他の小型車にも広く展開されています。

ここ最近ではトヨタも4気筒が主流である1.5Lエンジンを3気筒として出してきています。ヤリスに搭載されるM15Aエンジンが、ダイナミックフォースエンジンシリーズの1.5モデル第一弾として登場しました。今後も搭載車種は増えていくと思われます

また3気筒エンジンの採用は、コンパクトカーだけに留まりません。例えばBMW i8も高級車でありながら1.5L直列3気筒エンジンを採用しています。

なぜ多くの車種が3気筒エンジンを採用するようになったのか。1番の理由は燃費を良くするためです。気筒数が減ればバルブやピストンなどの部品が減ってフリクションが減ります。これは非常に大きい効果です。

また燃焼室の大きさの問題もあります。実はエンジンの1気筒辺りの排気量のベストはおおよそ400cc~500ccと言われています。あまり排気量が大きすぎるとプラグによる着荷からの火炎伝播燃で燃焼室内の燃料を燃やしきれません。また、小さすぎても体積当たりの表面積が増えるために熱が無駄に多く逃げてしまいます。当然、ボアとストロークの関係にもよりますが、おおよそ現在多く採用されるエンジンの緒元では400cc~500ccがベストと言われています。

それに当て嵌めて考えると、1.2Lなら1気筒400ccで3気筒。1.5Lならば1気筒500ccで3気筒の組み合わせがベストということになります。今までの1.2Lで4気筒というのは理想に対してが小さすぎたということですね。また燃焼室の設計をベストな状態にして気筒数を増減させることのよって排気量を変更するコンセプトでエンジンを設計するモジュール化もトレンドです。例えば1.5Lが3気筒、2.0Lが4気筒エンジンとし、1気筒あたりの排気量は同一とするような設計です。

では、何故今まで4気筒を採用していたのかと言うと、3気筒エンジン特有の振動がネックになっていたためです。

ピストンが180°違いで対になって動き、1次振動がない4気筒エンジンに比べて、120°間隔でピストンが配置される3気筒エンジンは振動を打ち消すことができず、質感において4気筒エンジンに大きく劣ります。そのため3気筒エンジンは「安い車」に使われる傾向がありました。軽自動車はその代表格ともいえると思います。

しかし技術の発達によって、振動などの動的な動きはシュミレーションで詳細な解析が出来るようになってきました。エンジンマウントや制御の発達によりそれにより3気筒エンジンであっても振動は今まで以上に抑えられるようになってきました。

また、3気筒エンジンの採用が広まっている理由として大きいのはアイドリングストップの採用が増えたことです。3気筒エンジンの振動が最も気になりやすいのはアイドリング時ですが、停車中にエンジンを止めてしまえば気になることもありません。


これらの変化により、3気筒エンジンを搭載するデメリットが小さくなり相対的に搭載するメリットが大きくなっていったため、3気筒エンジンの採用車種が増えているのです。