各社の自動ブレーキを方式ごとに整理して比較する【2020年版:国産車】

最新の車では必須となる自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)。一口に自動ブレーキと言っても、方式や制御の方法は様々で結構わかりにくいです。全て把握している人も少ないんじゃないでしょうか。

国内各社の自動ブレーキの方式と原理を整理して比較しました。各輸入車メーカーも自動ブレーキに使うセンサーの種類は同じようなものなので、輸入車の購入を検討している方にも参考になると思います。

自動ブレーキに使う主なセンサー

まずは、自動ブレーキに使われる各センサーを整理します。これらを理解することによって、各社の自動ブレーキをかなり整理しやすくなります。

カメラ

画像解析により、障害物や車線を検知します。モノラルタイプとステレオタイプがあり、後者は距離も判別できます。対象物の形状や標識の認識や、夜間の対向車のライトを判定できるものもあります。歩行者も検知可能です。ただし、見えなければ検知は不可能です。人間の目と同じく雨や雪といった悪天候の視界悪化時は苦手です。

ミリ波レーダー

波長の短いレーダーを飛ばして反射波を検知することにより、対象物までの距離がわかります遠くの障害物まで検知でき、自身が発するレーダーの反射を検知するため悪天候時など視界が悪い状態にも強いのが特徴です。ただし反射率の低いものは検知できませんし、分解能も小さいため歩行者のように小さい目標は苦手です。

赤外線レーダー

ミリ波よりさらに波長の短い赤外線を使って対象物との距離を検知できます。波長が短いため長距離は苦手ですが、分解能が細かいため、小さい障害物にも有効です。ミリ波レーダーより廉価です。また、価格は高くなってしまいますがレーダーのようにスキャンされることで、広範囲を検出することもできます。自然界にある波長で悪天候は苦手ですが、カメラよりは夜間でも検知能力が高いです。

ソナー

超音波の反射で物を検出します。近距離の障害物を検知するために使われます。また、後方の検知などにも使われます。廉価で小型化が容易なため昔からバンパーなどに搭載されていました。

トヨタ

トヨタは「Toyota Safety Sense」というブランドを展開しています。かなり幅広い車種で展開されており、ミリ波レーダーと単眼カメラを併用した方式で、歩行者の検知も可能となっています。車種によっては自動でハンドルを操作し、車線のはみ出しを抑えるレーンキープアシストや、先行する他車に追従できるACC(adaptive cluse control)も装備しています。

旧型車種は単眼カメラ+赤外線レーダーの方式もあります。こちらの方が性能には劣ります。

さらにソナーを併用し、誤発信抑制機能を備えたものもあります。

日産

プロパイロット」シリーズを展開しています。標準は単眼カメラのみとなります。ミリ波レーダーを併用する方式に比べると検出精度は劣りますが、歩行者の検出も可能です。

その発展系である、スカイラインハイブリッドに搭載されるプロパイロット2.03種類の広角カメラとミリ波レーダーを併用します。さらにサイドや後方も監視しており、合計で7つのカメラ、5つのレーダー、12個の超音波ソナーを備えています。これにより車線変更の提案と補助も可能となります。そして高精度の地図情報を元に走行することにより、高速道路で同一車線上であれば、ほぼ完全な手放し運転が可能です。

なお、フーガなどはミリ波レーダーのみとなります。歩行者は検知することができません。

ホンダ

ホンダの展開する「ホンダセンシング」はミリ波レーダーと単眼カメラを併用したタイプです。性能や機能はトヨタの最新式とほぼ同様です。S660などはシティブレーキアクティブシステムという赤外線レーダー方式となり、低速でのみの対応となっています。

スバル

自動ブレーキの先駆けとなったスバルの「アイサイト」。ステレオカメラを搭載し、カメラのみで距離を検知することもできます。後方などの検知はソナーでカバー。咄嗟の誤後退を抑制します。

また、新型レヴォーグではミリ波レーダーで4方向を監視。交差点の出会い頭などでの事故を予防できるようにするようです。

マツダ

マツダの自動ブレーキは「i-ACTIVSENSE」というブランドです。当初はミリ波レーダー+単眼カメラ+赤外線レーダーの3センサーを併用していましたが、現在は画像解析技術を向上させミリ波レーダーと単眼カメラを併用しています。トヨタ、ホンダとほぼ同様の機能を有します。

ダイハツ

ダイハツは「スマアシ」を展開しています。スマアシⅡは単眼カメラとミリ波レーダーの併用タイプでしたが、現在のスマアシⅢはスバルのアイサイトと同様にステレオカメラに変更されています。日立製のアイサイトと異なり、こちらはデンソー製となります。従来よりも歩行者の検知性能が上がりました。

三菱

三菱の自動ブレーキは「e-Assist」というブランドです。方式は統一されておらず、車種によって異なります。デリカなどは赤外線レーダー+単眼カメラ+ミリ波レーダーの併用方式。アウトランダーは単眼カメラと赤外線レーダーの併用になります。また、ミラージュは赤外線レーダーのみですね。

スズキ

スズキの「suzuki safety support」は様々な方式が混在しています。主流のものはワゴンRやジムニーに搭載される単眼カメラ+赤外線レーダー方式。エブリイやイグニスなどにはスバル同様のステレオカメラタイプ。こちらの方が最新式よりも歩行者検知には優れているようです。

新型ハスラーにはステレオタイプが搭載され、アクティブクルーズコントロール機能も付きます。

さらに、旧型車種にはミリ波レーダーのみのものや赤外線レーダーのみのものなどもラインナップされています。

まとめ

これら各メーカーで主要に使用しているセンサーを種類毎に並べると以下のようになります。

単眼カメラ+ミリ波レーダー:トヨタ、ホンダ、マツダ、スズキ

単眼カメラ+赤外線レーダー:三菱、スズキ、トヨタ(一部旧型車種)

単眼カメラ+ミリ波レーダー+赤外線レーダー:三菱

ステレオカメラ:スバル、ダイハツ、スズキ(一部旧型車種)

単眼カメラのみ:日産

まとめてみると、多いのは単眼カメラ+ミリ派レーダーのタイプです。カメラで歩行者も検知でき、ミリ派レーダー搭載のため悪天候にも対応できます。このようにそれぞれの弱点を補完できる組み合わせは安心ですね。ACC機能を搭載する際にもミリ派レーダーは都合が良いようです。今後も主流はこの方式だと思われます。

また各車種を横並びに性能評価している団体もあります。

JNCPA 予防性能アセスメント

各自動車の自動ブレーキの方式だけでなく、実際に止まるのかどうかもテスト項目別に細かく確認することができます。車種にもよりますがスバル、トヨタが比較的優秀なようです。こちらのサイトも自動ブレーキ付きの車を選ぶときは、是非とも参考にしてみてください。