最近の車は大きすぎ?車がどんどん大きくなる理由

最近の車は大きすぎる。そう言う意見をよく聞いたことがあると思います。

カムリ、クラウン、シビック、アコード、レガシィといった伝統の名前を持つ車はモデルチェンジの度に軒並み大きくなり、今やカローラでさえ3ナンバーサイズです

何故車はどんどん大きくなるのか。その理由をピックアップしました。

トヨタ カローラ by Tokumeigakarinoaoshima license∶CC BY-SA 4.0

車が肥大化するきっかけは自動車税制度の変更?

日本で車が大きくなるきっかけになった出来事があります。それは1989年に導入された排気量別の自動車税の導入です。

それ以前は3ナンバー/5ナンバーで税金が別れており、5ナンバーであれば税金が安く設定されていました。5ナンバーの車は以下の条件に該当する車でした。

長さ4.7m以下

・幅1.7m以下

・高さ2m以下

・排気量2,000㏄以下

これらの条件を1つでも満たしていなければ3ナンバーに区分され税金があがります。よって庶民は5ナンバーの車を求めたため、必然的に全幅は1700mm以下の車が多くなっていました

しかし排気量別の自動車税制度が導入された今、全幅を1700mm以下に抑える金銭的なメリットはなく、自動車の幅を以前より気軽に大きくすることができるようになっています。

自動車の幅が大きくなってきた理由

1.安全性

1つ目の理由は車の安全性の確保です。

自動車の衝突試験は年々厳しくなっています。衝突試験で良い成績を納めるためには、どれだけ衝突時に潰れて衝撃吸収してくれるクラッシャブルゾーンを稼ぐかにかかっており、それは側面衝突であっても同じです。

車の横幅が大きくなれば、よりクラッシャブルゾーンを稼いだり頑丈なサイドビームを入れたりして、安全性が確保しやすくなります

昔に比べてより高い安全性が求められた結果、メーカーとしてはできるだけ横幅を大きくしたいというのが本音です。

2.市場の需要

2つ目は市場の需要によるボディサイズの拡大です。主に北米を中心とした海外需要によるものです。

彼らは体格も大きく、日本人より大型の車を求める傾向があります。また道も広いため、無理に小さい車に乗る必要性も低いです。

従って特に北米で人気の車はボディサイズが大きくなる傾向があります。最初にあげたカムリやシビック、アコード、レガシィなどといった車は国内では人気とは言い難いですが、北米では大変人気がある車です。ボディサイズも市場の要望に合わせて大きくなってきた歴史があります。

3.購入者の世代入れ替わりによる需要変化

最初に述べたように昔はボディサイズは税金に関係していました。その頃との税金制度の違いを未だに理解しておらず5ナンバーサイズにこだわる人が一定数居ます。

また当時から大きい車に乗ったことがなく、変化を恐れ5ナンバーサイズにこだわる人も居ます。そういった人達が全幅の広い車を嫌がるので、特に大衆車は1700mm以下の車が多くライナップされていました。

しかし時は流れ、そういう層の人達は免許を次々と返納し、1700mm以下というナローボディにこだわる人も少数派になりました

実際、1800mmと10cm横幅が増えたことでの実害もほぼなく、タイヤの切れ角が大きく取れるので小回りも案外効きます。そういう事実が周知されてきたからこそ、メーカーも車の幅を徐々に広げてきました。

先程少し触れたカローラも1700mmを超えていますし(小回りを確保するため国内版はショートホイールベースですが)、今まで「5ナンバーミニバン」と言われて5ナンバーサイズいっぱいのボディサイズが特徴だったノアやステップワゴンも新型は全幅を広げて軒並み3ナンバーです。

「3ナンバーだから売れない」

この可能性が低くなってきたからこそ、メーカーはサイズを大きくできるようになったと言えます。