タイヤに窒素を入れても意味はない?その3つの理由
タイヤ専門店やカー用品店でタイヤ交換などを行うと必ずと言ってよい程勧められるタイヤへの窒素ガスの補充。
ほんとに必要なの?と思ったりよく分からないまま言われるがままに入れてしまった人も多いはず。
結論を言えば普通の車に窒素ガスを充填する必要ないと思っています。その理由を説明します。
「窒素ガスは抜けにくい」は事実。ただし窒素ガスでもメンテナンスフリーではない
タイヤに充填される空気は少しずつ抜けていき空気圧が下がってしまいます。空気を構成する主成分は窒素と酸素です。窒素は酸素に比べてゴムの透過率が低く、ゴムを通り抜けにくいという性質をもっています。
そのため空気の代わりに窒素を入れると空気圧の低下を抑えることができますが、そもそも空気の構成成分の8割は窒素です。抜けにくいのは残りの2割の酸素ということになります。さらに酸素が抜けるほど窒素の濃度が高まることになります。つまり窒素ガスの充填効果は薄まるということです。
またタイヤの空気が抜ける原因はゴムの透過だけではありません。タイヤとホイールの隙間やエアーバルブからも漏れます。これに関しては窒素であっても効果はありません。
それよりも大事なのは日頃のメンテナンス。窒素ガスだろうが空気だろうがタイヤの空気圧は減っていきます。しっかり定期的に早め早めの空気圧のチェックは必要です。
どうせこまめにチェックするなら窒素ガスだろうが空気だろうがメンテナンスの手間は同じですね。
タイヤ内圧の変動が少ない?
窒素ガスは水分をほぼ含みません。通常の空気を装填した場合だと、水分が液体に変化したり水蒸気に変化します。水は期待になると約1700倍に体積が膨らむため、タイヤ内の水分が水蒸気になるとタイヤの内圧の変動があることになります。よって窒素ガスを充填しておけば温度差による水の分圧変化を抑え、空気圧を安定させる効果があります。
とは言えじゃあそればどれくらいの影響なのか、という話。
走行中、タイヤ内の温度は路面との摩擦やゴムの変形で40~50℃くらい上昇すると言われています。仮に夏場に走行しタイヤの温度が35℃から80℃まで変化したとします。この時の飽和蒸気圧の変動は0.4気圧程度。これがタイヤの空気圧の変化に現れることになります。
車の空気圧は絶対圧で3~3.5気圧が一般的だと思います。そうすると温度変化による水分由来の空気圧の変化率は10%程度。
もちろんこれは最大の変化量であり、それだけ十分な水が残っていた場合の話です。湿度100%の空気をいれるわけでもないので実際の変化量はもっと小さく、一般の乗用車では気にするレベルではないと個人的には思います。
ただ、せめて空気中の水分が潤沢な雨の日にタイヤを交換するのはやめた方がいいかもしれないですね。それくらいは気にかけても大したデメリットにはならないです。
タイヤの劣化を抑制する?
タイヤに使用されるゴムや、金属製のホイール部分は、水分と酸素に触れることで酸化してしまいます。
その点で酸素量と水分量が少ない窒素ガスを充填することでタイヤの酸化を防ぐ効果があります。酸化を抑えれば腐食が進みにくいため、タイヤを長持ちさせることができます。
とは言えそもそもタイヤは空気中で使うもの。さらに外側は雨だけでなく日も当たりより劣化しやすい状況です。そんなタイヤの内部の劣化を心配するのは明らかにナンセンスです。
まとめ
タイヤに窒素ガスを充填することで劣化を抑え、空気圧を安定させることで燃費が向上することは科学的に証明されている事実です。
しかし実際に窒素ガスが使用されている現場といえば、航空機やレーシング用のタイヤといった特殊車両が主であり、考察のように自家用車に窒素ガスを使用しても効果を実感する機会、大きなメリットは極めて少ないといえると思います。
ちなみに窒素ガスを充填する頻度は通常の空気と同様に3カ月に1回が適切であるとされているそうです。
つまり、3カ月に1回はカー用品店などに足を運んでおよそ2,000円のコストをかける必要があるということです。
その手間とコストをかけてまで窒素ガスを使用するかどうかはご自身の判断によりますが、カー用品店などでは無料サービスで空気を充填するよりも利益が出る窒素ガスを勧めるケースが多いことを念頭に置いておく必要はあると思います。
上記のことを参考に本当に窒素ガスが必要かどうかを考えてみてはいかがでしょうか。