レギュラー仕様の車にハイオク燃料を入れても意味が無い?ハイオクとレギュラーガソリンの違いとは?
ガソリンスタンドに行くと、日本ではだいたい3種類の燃料が置いてあります。ハイオク、レギュラー、軽油ですね。
軽油はディーゼルエンジンに使用する燃料です。トラックやバス以外にも乗用車であればマツダ、トヨタ、三菱の他にも海外メーカーが国内でもディーゼル車を販売しています。
一方、残りの2種類の燃料はガソリン車に使える燃料です。レギュラーとハイオクの2つがあり、それぞれ車種によって指定燃料が決まっています。
レギュラー仕様の車にハイオクガソリンを入れるなんて話も、車好きの間ではポピュラーな話題です。
レギュラー仕様の車にハイオク燃料を入れるメリット、デメリットと共に、今回はハイオク、レギュラー2種類の燃料の違いについて説明します。
レギュラーガソリンとハイオクガソリンは何が違う?
結論から言うとこれらの燃料は燃えやすさが違います。具体的にはオクタン価という数値が異なります。オクタン価は大きければ大きいほど燃えにくい燃料になります。
オクタン価というのはイソオクタン(C8H18)という炭化水素の燃えやすさを100とし、ノルマルヘプタン(C7H16)という燃料の燃えやすさを0としたときに、その燃料がどのくらいの燃えやすさを示すかを指標化した数字です。
ちなみに日本ではレギュラーガソリンはオクタン価89以上、ハイオクガソリンは96以上とされています。実際はもっと高いオクタン価になっている場合がほとんどです。つまりハイオクというのはハイオクタン価の略ということです。上限は100ではなく、炭化水素の種類によってはそれ以上も可能です。
オクタン価が高く、燃えにくいガソリンを使うメリットはエンジンスペックに表れます。それはエンジンの圧縮比を上げることができるようになることです。
圧縮比が上がると、エンジンは効率が良くなります。圧縮比を上げると何故効率が良くなるかという話とノッキングの詳しい話についてはこちらの記事に少し書いてます。
ハイオク燃料を使うことによって燃えにくい=自着火しづらい=ノッキングが起きにくくなることによって圧縮比を上げることが可能になります。
効率が良いということは、同じ燃料でより馬力が出せるということ。またノッキングが起きにくければ、より高い圧力で過給を行うこともでき、やはり馬力が出ます。
これらが高性能車用エンジンにハイオクガソリンが指定燃料として使われている理由です。
また、ハイオクガソリンには多くの場合添加剤が含まれています。エンジンを綺麗に保つ効果があり、各メーカーによって入っている成分は様々あるようです。
よく「ガソリンスタンドは○○がいいよ」と言われるのは、この添加剤の違いによるものですね。それぞれ好みが別れるところです。逆にレギュラーガソリンユーザーはあまり気にしなくていいですね。
毎日新聞の取材により、ShellのV-power以外は各社とも実は共通のハイオクを使っていたことがわかりました。
また、Shell V-power以外ではエンジンの洗浄効果はなく、ハイオクの添加剤はエンジンの汚れが付きにくくする効果だけであり、コスモ石油では今まで虚偽の記載をしていたことがわかりました。
こうなるとShellもしくは他のハイオクという差しかなさそうです。またShellと出光は2019年に経営統合しており、今後は2023年までにスタンドもアポロブランドに統合される予定です。ハイオク燃料もShellは出光に統合される、つまりハイオクガソリンはどこを使っても今後同じになる可能性が高いです。
当然、今まで通りレギュラーは各社同じガソリンのため特にブランドで選ぶ必要はありません。
レギュラーガソリン仕様の車にハイオクを入れると良い?
良く車好きの間で交わされる定番のやりとりです。
まずオクタン価の効果です。ハイオクタン価の燃料を入れたとしても基本的に性能はほとんど変わりません。レギュラーガソリンに合わせた設計をされたエンジンである以上、レギュラーガソリンでの仕様を想定したベストの仕様を決めています。具体的には圧縮比や点火時期の設定、過給圧力などです。設定上物理的に出せない性能は燃料を変えても出せません。
もしレギュラーガソリン指定ながら、かなり無理している設定の過給圧や圧縮比であれば、ハイオクで出力が改善する可能性はあります。そんなエンジンもそう多くはないとは思いますが…
一応、ハイオクガソリンの方が燃料が持つ発熱量はわずかに大きいですが体感出来るレベルではないと思います。
次に添加剤の効果です。添加剤はエンジン指定燃料に関わらず、効果があります。ただ添加剤はどの車にも必要なわけではありません。また、添加剤は汚れが付着しにくくなるだけで洗浄効果はないとも明記されています。
ワコーズのFUEL ONEなどのエンジン内専用洗浄剤は市販されています。もし、添加剤を使いたいエンジン内部を綺麗にしたいならば、専用品を使う方が効果的でしょう。別にハイオクガソリンを入れるメリットはないと思います。
逆にハイオク指定のエンジンにレギュラーガソリンを入れるとどうなるかも説明しておきます。まずノッキングを起こして壊れる可能性があります。とは言え現在の車にはノッキングセンサーというものがついており、ノッキングを検知すると点火時期を遅らせてノッキングを防ぎます。よってハイオク仕様の車にレギュラーガソリンを入れたとしても壊れることはほとんどありません。災害時にはレギュラーガソリンしか手に入らない場合もあります。そんな時でも走れるようになってます。
また、壊れないとしても点火時期を大きく遅らせるためエンジンの効率は落ちます。ノッキングが起きやすく負荷の高い領域を使って運転するCVT車や高速道路走行での燃費は大きく落ちてしまう恐れがあります。
ただし、たまにノッキングセンサーがついてないエンジンもありますね。そういう車やバイクはレギュラーガソリン厳禁です。
以上をまとめると、レギュラーガソリン仕様の車にハイオク燃料を入れるメリットはほぼないと言えます。また、ハイオク指定の車にレギュラーを入れても問題ない場合が多いですが、ハイオク車にレギュラーガソリンを入れたとしても燃費悪化で実質的な価格差は埋まるためにコストメリットは小さいとも言えます。
欧州車がハイオクガソリン指定な理由
BMWやプジョーといった欧州メーカーの車はエントリーモデルでもハイオク指定だったりします。庶民の車なのにハイオク仕様?実はこれには理由があります。
欧州のレギュラーガソリンはオクタン価95以上です。日本のハイオクガソリンよりもオクタン価は低いですが、レギュラーガソリンよりは高いオクタン価になっています。よって日本のレギュラーガソリンではオクタン価は不足しており、ノッキングを誘発するおそれがあります。
オクタン価は大は小を兼ねる性質です。そのため日本では欧州車のエントリーモデルでもハイオクガソリンを指定します。
結構ガソリンのオクタン価は国によってバラバラです。インドネシアはさらに低い88が売っていますし、モンゴルは80なんてガソリンが売っていました。
まとめ
今回はガソリンの種類の違いについて紹介しました。
レギュラーとハイオク燃料の違いは価格だけでなく性能も大きく異なるため、エンジンに最適な選択をする必要があります。
また燃料に関しては、車好きの間で色々な議論が交わされますが、結局は指定された燃料を使うのが最も良さそうです。
結局、エンジン内部のメンテナンス効果はハイオクガソリンを使わずに専用品を使う方が効果的であり効率も良いと思われます。