車間距離を重視せよ。燃費のいい走り方

車も機械なので、車の燃費は人間の操作にも大きく依存しています。つまり車の燃費の良い走り方は色々とコツがあるということです。

ネットで検索すると様々な運転方法が書かれていますが、それを包括的に実践する方法があります。それは「車間距離をあけること」

もちろん、車間距離をあけるだけでは燃費は良くなりませんが、燃費を良くするためには最も需要なテクニックです。

今回は燃費を良くする方法を要因から考察して、車間距離をあける運転が何故燃費向上に有効なテクニックなのかを整理して解説してみました。

結論の説明をする前に、まずは燃費を良くする要因をそれぞれ考えてみます。

走行抵抗を減らす

車の仕事は人や物をある地点から目的地まで移動させることですか、その際には様々な抵抗が伴い、それらを総称して走行抵抗といいます。この走行性能抵抗を減らすことが、燃費を良くするための代表的な原理原則のひとつです。走行抵抗は以下の3つに分けられます。

・転がり抵抗

・空気抵抗

・勾配抵抗

・加速抵抗

これらをそれぞれ減らすことにより走行抵抗は減少し燃費が向上します。それぞれ詳細に確認していきます。

転がり抵抗

主にタイヤの変形に伴う抵抗です。よって車重に比例して大きくなります。つまり車重を軽くすることによって抵抗が減ります。また、タイヤの変形を抑える、つまりタイヤを固くする(空気圧を上げる、固い部材を使う)などでも減らすことができます。また、タイヤの変形とは関係なく路面状況などでも変化する値です。

空気抵抗

空気抵抗係数と車両前方投影面積と速度の二乗を掛けた値になります。この中で最も意識できるのは速度ですね。速度はなるべく落とすほど抵抗は小さくなります。ただし、機関効率のところで後述しますがむやみやたらに落とすほど燃費が良くなるわけではないです。前方投影面積はルーフボックスなどをつけると大きく増加してしまい、抵抗になります。

勾配抵抗

勾配角度と車重に比例して大きくなります。こちらでも車重を減らすことが抵抗を減らすことに繋がります。

加速抵抗

加速度と車重、回転部位の慣性重量に比例します。車重はこちらでも効いてますね。回転部位はタイヤやシャフト等です。タイヤはインチダウンなどで意識して慣性重量を落とすことはできます。加速度は加速をやんわりとすることで小さくすることができます。ただしこちらも機関効率と関係があり、むやみやたらに落とせばいいものではありません。また一定の速度で走ることも加速抵抗を減らすことになります。

エンジンの効率を上げる

車の動力源はエンジンです。効率と言うと難しそうに聞こえますが、要は供給した燃料に対してより多くの仕事をさせると燃費は良くなります。

エンジンには効率の良い運転領域が存在します。これらの部分を多く使って運転することが効果的です。共通して言えることですが、低回転でスロットルが開いていない領域は苦手です。先程、じんわり加速が一概に効果的とは言えないと書いた理由がこれです。エンジンの効率の悪い領域を多用してしまうことになります。

エンジンの損失の要因はいくつかありますが、その中でもドライバーが意図して減らせる損失は摩擦損失です。

摺動部であるピストンの上下運動はフリクションになります。これを減らすにはピストンが動く回数を減らす。つまりエンジンの回転数を下げることが最も効果的です。さらに少ないエンジンの回転でより多くタイヤが回転すると良いですね。このことからトップギアでなるべくエンジンの回転数を落とした運転が、燃費に効果的だとわかります。

これも速度をただ下げれば燃費が良いという訳ではない理由ですね。速度を下げすぎるとトップギアで走れなくなってしまいます。

またそれら摺動部の潤滑を担うエンジンオイルの粘度を下げることも効果的な燃費対策です。ただし、HEV用の超低粘度オイルは普通の車には入れない方がいいです。

さらに電気抵抗もエンジンがタイヤに行う仕事を左右する要素です。中でも大きいのはエアーコンプレッサーです。「A/C」と書いているボタンがコンプレッサーのスイッチです。冷房は元より、暖房はエンジンの排熱を使用しますが除湿のためにエアーコンプレッサーを駆動する場合はロスになります。

燃料を使わない運転を意識する

実は車はアクセルオフの時は燃料噴射をカットします。よってアクセルオフで走行している期間は燃料を使わず走っていることになります。このアクセルオフでの走行をできるだけ意識して増やすことで、より効率的に走ることができます。

またアイドリングストップも有効です。停車中は当然ながら移動のための仕事をしません。

他に多く燃料を使うのは始動時です。触媒をより早期に活性化させ排気ガスを浄化する為に、排熱の高くなる効率の悪い運転を行います。短距離の繰り返しで燃費が悪くなるのは、これが大きな原因です。

まとめ 燃費の良い運転とは

燃費を悪くする要因はわかりました。以上を踏まえると燃費向上の為の運転テクニックは以下のような走り方を推奨します。

加減速を極力無くしアクセルオフでの走行距離を伸ばす。車速はトップギアで走れ、遅いほど望ましい。

加速は無理にトロトロ走らなくても普通に行って良いと思います。走行抵抗を減らすには有効ですが、エンジンの効率の悪い領域を使う機会も増えてしまいます。それよりも一定速度で加速抵抗を無くし、アクセルオフでの走行距離を伸ばすことを意識した方が効果的だと思います。

燃料のエネルギーを無駄なくタイヤに伝えるためにもエンジン回転数は低く保ちます。速度は落とす方が走行抵抗は減りますが、トップギアを使える速度はできるだけ維持した方が良いでしょう。

そして、そのテクニックを有効に使うために大事なのが車間距離です。

車間距離を空けることによって周りの車の加減などの外乱を車間距離で吸収することができます。

つまり前の車の加減速を車間距離を使って吸収し、一定の速度で走れる時間を増やせるようになります。

また見通しが良くなることで、前の交通状態も把握しやすくなり、無駄な加速を減らしたり早めのアクセルオフが出来るようになります。走行抵抗を減らすだけでなく、そもそもの燃料消費を減らし、燃費の良い運転をすることができます。

乗っている車の燃費が気になる人は、車間距離を意識して走ってみてください。