コロナウィルスショックでガソリン価格が大幅下落?原油の価格はなぜ下がるのか。
ここ数日、ネットではガソリン価格の下落報告が相次いでいます。実際、ガソリンの価格は8週連続で値下がりしています(3月22日現在)
車好きには嬉しいガソリン価格の値下がり。しかしなぜ、急にここまでガソリンの価格が下がってきているのでしょうか。
実は今回のガソリン価格の下落は新型コロナウィルス騒動と大いに関係があります。
そもそも原油価格はどうやって決まる?コロナショックとの関係は?
原油価格もそうですが、基本的にものの価格というのは受給バランスできまります。欲しい人が多ければ価格は上がりますし、欲しい人が減れば価格は下がります。
今回の武漢から始まった新型コロナウィルス騒動で、中国を始めとする世界中の経済が停滞しました。また、航空便も大幅に減少し人の移動もかなり減少しました。
こうなると世界的に石油は余る状態になります。よって石油の供給が過剰になり石油価格は下がるのです。それにより末端の石油製品であるガソリンの価格も下がることになります。
一方、石油の消費量が下がると石油価格は下がり産油国の収入は減ることになります。そこでOPEC(石油輸出国機構)加盟国とロシアなど非加盟産油国からなる「OPECプラス」は石油減産をしようと試みます。
なぜ、石油価格は下がったのか
今回のコロナショックに対してもサウジアラビア率いるOPEC側が、原油価格の維持のために各国に減産強化を働きかけました。
しかしロシアは減産を拒否。これにより原油価格は大幅に下落することになります。
そこで報復措置に出たのがサウジアラビアです。減産するどころか増産に乗り出し、原油価格を暴落させてロシアの石油シェアを奪い取る方向に梶を切りました。
これにより原油価格はさらに大暴落し、2020年1月には1バレルあたり60ドル以上あった原油価格が、3月22日現在では先物価格が1バレルあたり20ドル代前半まで下がりました。一時期は10ドル代に突入するほどの暴落ぶりです。
ここまで原油価格が下がってきているからこそ、ガソリン価格も急激に価格が下がってきました。
原油価格暴落で1番損をするのはアメリカ?
実は今までの登場人物以外に、今回の原油価格暴落騒動で大ダメージを受けている国がいます。それがアメリカです。
アメリカは近年、シェールオイルの産出量が激増し原油輸出国大国になりました。
シェールオイルは油分を含む泥岩から人工的に原油を採取することによって得られる原油で、近年技術確信により急激に発掘量を増やしています。特にアメリカが力を入れており、アメリカは今やトップクラスの原油輸出国として君臨しています。
そんなシェールオイルですが、普通の原油と違い発掘方法が特殊なためコストがかかるデメリットがあります。しかし、高効率化により1バレルあたり40ドルまでは耐えられるコストパフォーマンスを誇っていました。
しかし、今回の原油価格暴落でシェールオイルの損益分岐点である40ドルは簡単に割り込み、20ドル代まで下げてしまいました。
これではシェールオイル生産業者は赤字となり、原油生産国であるアメリカにも大打撃となります。
4/21日追記
ついに5月の原油先物価格がマイナスに突入してしまいました。この価格は歴史上初めての異常自体です。世界中で石油が余っており、備蓄施設も一杯なので石油を買うところがかなり少なくなってしまっています。それほどに経済活動が止まっているということです。
まとめ
ガソリン価格下落とその背景についてまとめてみました。このような事情があることから、ガソリン価格はまだ下がると思われます。
身近な消耗品なので消費者としては嬉しい変化ですが、コロナウィルスショックも落ち着いておらず、社会情勢の今後はかなり不安になりますね。